規模に応じたセルフサービス分析の管理: 概要

このホワイトペーパーでは、Tableau でビジネス全体に最新のセルフサービス分析を導入する際に、規模に応じたガバナンスを実施するために重要な考慮事項を概説します。私たちは、管理タスクの委任などを含む、重要な役割や責任、ビジネス部門とのコラボレーションに必要とされる反復可能なプロセスについて、IT 部門が理解できるよう支援することを目的としています。そうすることで、分析ソリューションの拡張や、データに基づく意思決定を組織全体の標準とすることが可能になります。

シアトル小児病院のスタッフにとって、スピードは生死を分ける問題です。医者や看護師が子供の治療を開始するのが早ければ早いほど、良い結果につながります。わずか数分でさえ、重大な違いが生じる可能性があります。
そのような場所では、リアルタイムの意思決定が重要になります。セルフサービス分析を使用すると、病院のスタッフがすぐにその場で緊急の質問をし、迅速に回答を得て、リソースの優先順位付けを行うことで作業を効率化できます。病院のスタッフは患者の治療により迅速に取りかかり、できる限り多くの命を救うことができます。
「アナリストやマネージャーに加え、医師や看護師、研究者たちも問題解決に Tableau を利用しています。Tableau によって、時間や人材の不足が原因でできなかったことが可能になりました」と、同病院でナレッジマネージメントディレクターを務めるTed Corbett 氏は述べています。
これこそがセルフサービス分析の力です。つまり、セキュリティで保護され、ガバナンスが適用された状態で、適切なデータが適切な人材の手にわたるということです。セルフサービス分析により組織はデータをフルに活用し、救命、サプライチェーンの効率化、新しいビジネスチャンスの開拓などに役立てることができます。シアトル小児病院の IT 部門はデータを情報に変換する必要性を認識し、ユーザーが自分でデータを活用できるようにしました。

規模に応じたセルフサービス分析で次のことを実現できるため、エンタープライズの変革が促進されます。
1. スタッフがデータに関する自分の質問に自分で答えを見つけられるようにする
2. 自分のチームや組織のその他のチームとインサイトを簡単に共有できるようにする
3. 意思決定を促進するデータが正確で、信頼でき、セキュリティで保護されていることを確認する

現代の組織では、IT 部門とビジネス部門のニーズのバランスを取り、ガバナンスとビジネスのアジャイル性を兼ね備えた、セルフサービス分析に対する最新のアプローチが求められています。これは、コンテンツ生成のワークロードを、IT ではなくビジネスユーザーに再び割り振ることでもあります。Tableau は、データについて最もよく知っているユーザーが質問をし、回答するべきだと考えています。

組織内のスタッフはすでに、企業のソース (Salesforce や Google アナリティクスなど) からスプレッドシートや PDF にデータをエクスポートすることで、自身の分析ニーズをセルフサービスで満たしています。自身の質問にはすぐに回答を得る必要がありますが、下流での分析やファイルおよびメールでのコラボレーションを行うために、管理されていない環境にデータを移動させることは、データのセキュリティ、ガバナンス、信頼性を損なうことになります。どのようにすれば、リスクを軽減しながら、セルフサービス分析のニーズを満たすことができるでしょうか。IT 主導によるトップダウンのビジネスインテリジェンスから、最新のセルフサービスモデルに移行することは不可能に思えるかもしれません。ただし、モダン分析は導入するか、まったく導入しないかということでなく、管理され、規模に応じたセルフサービス分析を最終地点として捉えるべきでもないことを知っておく必要があります。それは継続的かつ反復的な過程です。

Tableau は使いやすいように設計されているため、IT 部門がデータソース管理の開始地点を提供し、ユーザーがデータにアクセスできます。その後、IT 部門はその役割や責任を、適切なトレーニングを受けたビジネスユーザーに委任します。このようにして、モダン分析では組織の対応能力に応じて必要なだけの変更が可能になります。

IT チームとビジネスチームは、定義されたビジョンに基づいて連携し、IT チームが求めるセキュリティとガバナンス、およびビジネスを支援するアジャイル性を備えた状態で、組織を発展させていく必要があります。管理されたセルフサービス分析を組織全体に導入して拡張するには、次の主要な手順を開始してください。
1. すぐに価値を得るために、環境を迅速にセットアップする
2. データモデルを一元化および標準化する
3. ユーザーが自分でデータを活用できるようにすることで、ユーザーからの信頼を得る
4. 使用状況を監視および監査する

Tableau Desktop を使用して 1 人がデータの探索を数分で開始することは簡単にできます。難しいのは、セルフサービス分析を組織の全員がすぐに実行できるようにすることです。柔軟で強力な Tableau は組織全体に対応することができ、そのサーバー管理の要件は単純です。そのため組織が成熟するにつれて、必要なキャパシティとコントロールを追加できます。

IT チームとして、私たちは自由と秩序のバランスを取りました。今日のビジネス部門は時間をより効率的に使っており、Tableau を利用することで、彼らにしかできないことを実行しています。その結果としてより多くの利益を生み出し、お客様とのより密接な関係を構築しています。— AMERIPRIDE 社最高情報責任者、STEVEN JOHN 氏

完全なストーリーを読む

Tableau は、モダン分析プラットフォームとして豊富な選択肢と柔軟性を備えており、既存および将来のデータインフラストラクチャ、ユーザー負荷と使用状況プロファイル、デバイス戦略、および目標に基づいてカスタム構成が可能です。Tableau がテクノロジースタックや分析戦略を指示することはありません。つまり、既存の投資を活用し、データ環境の継続的な進化や拡張に合わせて、Tableau を一貫して使用することができるのです。

Tableau Server は Windows または Linux に導入でき、物理ハードウェアまたは仮想マシンを使用したオンプレミス導入、またはアマゾン ウェブ サービス、Microsoft Azure、Google Cloud Platform などのパブリッククラウドへの導入が可能です。

自社でのインフラストラクチャ管理を望まない場合は、Tableau Server の完全ホスティング型ソリューションである、Tableau Online を使用できます。Tableau Online では、インストール、ハードウェア管理、サーバーの拡張について心配する必要はありません。すべて Tableau が管理します。Tableau では、すでに使用されているエンタープライズセキュリティや認証プロトコルを簡単に適用できます。Tableau では、Kerberos、SAML、SSL、Active Directory、クライアント認証、SSO for SAP HANA をサポートしており、コンテンツへのユーザーアクセスでセキュリティを確保することができます。

1 つの部門での使用、または少数の部門に存在する特定の使用事例に関しての使用など、小規模な導入から始めてもまったく問題はありません。導入に際して妥当なオーディエンスサイズを見積もるには、主要なデータソースが判断の助けになります。ユーザーのエンゲージメントがサーバーのスケーラビリティとサイジングの決定に影響するからです。他のエンタープライズプラットフォームと同様に、Tableau Server はプロセッサー、メモリ、またはディスクを追加することでスケールアップするか、ノードをクラスタに追加することでスケールアウトします。どちらのアプローチでもキャパシティを増やすことになりますが、独自のワークロードの内容に合わせて環境を調整し、カスタマイズすることができます。

そして、ユーザーが自分の質問に自分で答えを出すことの価値とその簡単さを認識するようになっていくにつれ、分析の利用は広がり、同時にユーザーはますます新しいデータを期待するようになります。これらは、導入戦略とスケーラビリティ計画を構築する際に、データのサイズと場所、組織のリスク許容度とともに考慮すべき重要な分野です。

多くの場合分析はミッションクリティカルであること、およびモダン BI ソリューションは急速に成長することを考慮すると、他のテクノロジーソリューションの場合よりも頻繁に、サーバーの使用状況やユーザーのニーズとライセンスを評価し直す必要があります。これまでに管理してきた他のエンタープライズプラットフォームよりも頻繁に拡張するためには、トポロジを変更する必要が生じる場合もあります。重要なのは、使用状況を積極的にモニタリングし、変化を続けるビジネスニーズを評価することです。

Tableau のユーザーインターフェイスでは、コンテンツの表示と管理が効率化されます。関連するアイテムや利用可能なアクションを含む、コンテンツについての重要な情報を 1 か所で表示することができます。

Tableau Server および Tableau Online を使用すれば、柔軟に環境を構築し、ユーザーのニーズや、ガバナンス要件に基づいてコンテンツを管理できます。

セキュリティを追加するためにマルチテナントが必要な場合は、別個のサイトにコンテンツを整理できます。各サイトは独自のユーザー、データ、コンテンツを保持することができます。この場合、あるサイトのユーザーは別のサイトのアクセス権を持たない、または別のサイトの存在を知らない場合もあります。

プロジェクトは、ワークブックとデータソースの基本的なコンテナです。プロジェクトはアイテムをまとめたものであり、階層構造を提供するフォルダーのように機能します。パーミッションはプロジェクト、ワークブック、データソースレベルで与えられ、グループまたはユーザーにそれらへのアクセス権を提供します。

プロジェクトおよびネスト化されたプロジェクトはさまざまなレベルのパーミッションを設定できるため、担当分野ごとにコンテンツを分割する方法として使用されます。さまざまなチーム (財務、マーケティング、営業、IT など) の Tableau ユーザーがいて、すべてのコンテンツが同じデータソースにあるにもかかわらず、チームごとに異なるコンテンツを提供したい場合があります。

IT 部門は、コンテンツの管理とデータガバナンスの方法として、アドホックまたは未認証のコンテンツ、検証された認証済みのコンテンツについてそれぞれ、サンドボックスプロジェクトや本番プロジェクトを含む、異なる部門のさまざまなプロジェクトのコンテンツ整理フレームワークを作成する必要があります。セルフサービスのサンドボックスで、ユーザーのチームは自由にアドホック分析を実行および探索できます。IT 部門は、個別の本番プロジェクトでプロダクションデータソースおよびダッシュボードを管理、パブリッシュし、このスペースでのパブリッシュに対すして高い制御性を維持する必要があります。そうすることで、ビジネス全体で、信頼できるデータを自信を持って使用できます。

適切なトレーニングを受けた一部のユーザーが、コンテンツを承認するための検証プロセスを担当し、ビジネス部門内のプロダクションフォルダーで使用できるようにします。ビジネス部門が信頼できるデータを繰り返して利用し、新しいコンテンツを作成するにつれ、IT 部門またはデータスチュワードはこれらのアイテムを認証して、本番プロジェクトに組み入れることができます。このようにすることで、組織のプライマリデータソースとダッシュボードを、ビジネスの変化や成長に合わせて継続的に改善および進化させることができます。

たとえば、Tableau ではコンテンツをさまざまなチーム用の別個のプロジェクトに整理しています。カスタマーソリューションチームは 3 つの異なるプロジェクトにアクセスできます。1 つは、チームのサンドボックスで、ここでは進行中の作業が含まれています。このサンドボックスでは、ユーザーが自分の質問に自分で答えを見つけることができます。本番プロジェクトには、チームが社内で管理する、検証済みおよびバプリッシュ済みのダッシュボードが含まれています。最後のフォルダーには、リーダーシップが検証したコンテンツで、他のチームが利用できるようにされています。カスタマーソリューションチームのパフォーマンスは、社内の他の部門から確認できます。

ビジネスユーザーと管理者は、スキルレベルおよびプラットフォームの操作レベルが異なるため、さまざまな役割に分類されます。これらの役割を理解すると、ユーザーの成長や新しいスキルの習得に応じて、また IT 部門がより多くの責任を委任するにつれて、組織内で適切なセキュリティ、パーミッション、サポート構造を適用するのに役立ちます。
サーバー管理者 — 組織のガバナンスポリシーおよびプロセスに従い、ソフトウェアとデータベースドライバーのインストールや、構成、アップグレード、監視、保守、およびセキュリティの監視を行います。
サイト管理者/プロジェクトリーダー — それぞれ Tableau Server サイトまたはプロジェクトを管理します。これにはユーザー、パーミッション、データソース認証が含まれます。
Creator (データスチュワード/アナリスト) — データに接続して新しいデータソースやダッシュボードを作成します。これらのデータソースとダッシュボードは Tableau Server または Tableau Online でパブリッシュおよび共有されます。データスチュワード (DBA またはデータアナリストなど) がデータソースをパブリッシュします。Creator は、組織の義務および/または規制義務に準拠しながら、プロセスの定義、ポリシー、ガイドラインや、エンタープライズのメタデータ管理に関するビジネス知識を取り込みます。
Explorer (アナリスト) — 既存のデータソースに接続し、新しいダッシュボードを作成します。これらのダッシュボードはTableau Server または Tableau Online で保存および共有されます。
Viewer (ビジネスユーザー) — フィルターやパラメーターを操作して、パブリッシュされたコンテンツをカスタマイズします。 また、ビジネスイベントによってトリガーされたアラートを受信できます。

Tableau の直感的なインターフェイスでは、ユーザーを機能グループに関連付ける、パーミッションをグループ化して管理する、どのコンテンツに誰がアクセスできるかを表示することが容易にできます。サーバー (または Tableau Online) でローカルにグループを作成する、または Active Directory からインポートして、設定されたスケジュールに同期することも可能です。また、パーミッションビューは、ビジネスユーザーが独自のユーザーとグループを管理するときに便利です。

Tableau には、プロジェクト、ワークブック、データソースに関する既定のパーミッションルールがあり、またこれらのコンテンツタイプについてパーミッションルールをカスタマイズして定義することもできます。パーミッションのカスタマイズでは、データソースへのアクセスやデータソースのダウンロードから、パブリッシュされたコンテンツに対するユーザーの操作方法まで、より細かいパーミッション設定が可能です。管理者はパーミッションルールの割り当てと、それらをプロジェクトにロックすることが可能です。ロックされたプロジェクトでは、コンテナー内 (ネストされたプルジェクトを含む) のすべてのコンテンツにパーミッションルールを適用できます。

コンテンツリソースに対するユーザーの有効なパーミッションは、そのユーザーのライセンスタイプ、サイトロール、コンテンツパーミッションで許可されている機能によって決まります。これには、ユーザーがそのコンテンツアイテムの所持者であるかどうかや、ユーザーが所属するグループに適用されるパーミッションルール、特定のプロジェクトについてそのユーザーに適用されるパーミッションルールなどが含まれます。

大規模な企業での導入では、ユーザーとコンテンツの両方の管理を委任することが必要になります。委任によって、IT 部門がセルフサービス分析の拡張のボトルネックになる可能性を排除できるだけでなく、プラットフォーム管理やデータアーキテクチャ、データエンジニアリングに関する重要な業務に集中できるようになるため、最終的にはビジネス活動の改善につながります。

初期においては、IT 部門はデータアクセスやガバナンス、コンテンツ管理、サイト管理に関してこれまでの役割を維持する場合がありますが、Tableau Server の拡張につれて、ガバナンスを理解している適切なスキルを備えた一部のビジネスユーザーに、サイト管理の役割を委任するべきです。特定のサイト内のコンテンツとユーザーを制御しているサイト管理者は、IT部門とビジネス部門の交差点にいます。これは特に、部門のコンテンツ管理およびパーミッションについて当てはまります。

サイト管理者はサイトの管理、監視、メンテナンスを理解し、積極的に貢献する必要があります。これには、ガバナンスポリシー、手順、およびリスクの管理、サイトの組織化とコンテンツのパブリッシュ、サイトコンテンツの利用、パフォーマンス、コンプライアンスの管理のほか、採用やコラボレーション、およびセルフサービス分析の持続可能な成長をサポートするための継続的な教育やサポートが含まれます。

Tableau は、サイト管理者の特定の機能的タスクを簡素化することができます。たとえば、適切なパーミッションを持ったシス テム管理者とサイト管理者の両方は、UI、API、コマンドラインツール (tabcmd) を使用して新しいユーザーを追加できます。 また、サイト管理者は、適切な専門知識とパーミションを備えた、グループ内のプロジェクトリーダーにパーミッションとコンテンツ管理を委任できます。たとえば、マーケティング部門と連携しているアナリストは、マーケティングプロジェクトのパーミッションを割り当てるプロジェクトリーダーになることができます。

システム管理者と開発者は、業界標準のプログラミング言語およびデータ交換形式で構築された幅広い API を使用して、特定のビジネス要件を満たす、または特定のワークフローに対処するために Tableau を自動化、埋め込み、拡張することができます。

Tableau Server の REST API と tabcmd ユーティリティは、JavaScript API とデータ抽出 API とともに、Tableau Server 上に機能を構築するためのシンプルで柔軟な方法を提供します。

たとえば、ログイン、新しいユーザーアカウントの作成、サブスクリプションの生成などのスクリプトを作成できます。また、新規サイトの作成や個別のプロジェクトの追加、パーミッションの割り当て、アラートなどの自動化が可能です。
JavaScript API: カスタム埋め込み分析機能を開発し、他のアプリケーションに組み込む。
拡張 API: ダッシュボードの拡張機能を開発し、外部アプリケーションを統合する。
REST API: REST エンドポイントを使用して Tableau Server の管理を自動化する。
ドキュメントAPI: プログラムを使用して、ワークブックとデータソースファイルを修正する。
抽出 API: プログラムを使用して、Tableau データ抽出を TDE 形式で作成する。
Web データコネクタSDK: 任意の Web データソースに接続する。
ODBC 接続: ODBC 標準を使用して、データ接続をカスタマイズおよび調整する。

適切なプランニング、リソース、スキル、分散されたコントロールにより、ビジネスユーザーの効率化を支援できます。ここでの課題は、セルフサービス分析を阻害することなく、またはビジネスワークフローに遅延を生じさせることなく、データの整合性とセキュリティを維持することです。Tableau は、対象となるコンテンツやユーザー、データに基づいて、適切なレベルのコントロールを行えるようにする柔軟性を備えています。コンテンツによっては、接続してすぐに使用する方法を取ることができますが、IT 部門によって管理され、共有または管理されているデータソースに基づいているコンテンツもあります。

Tableau では、Informatica、Alteryx、Trifacta、およびその他多くのエンタープライズ ETL ツールとシームレスに統合でき、既存の分析関連の投資を最大限に活用できます。パートナー企業のツールによって Tableau の機能を拡張することで、組織はより簡単にデータを収集、保存、変換し、データに接続することができます。

データセキュリティの制御を維持する

Tableau Server および Tableau Online では、データへの安全なアクセスを複数のレベルで設定できます。
データベースに対するパーミッション: Tableau ではデータベースに対するセキュリティが順守されるので、ユーザーには自分がアクセス権を持つデータのみが提供されます。データベースにアクセスするたびにユーザー認証を要求することも、データソースに直接作成者の認証資格情報を埋め込んで、ユーザー全員が再利用できるように選択することも可能です。
Tableau におけるデータソースのパーミッション: Tableau におけるコンテンツのパーミッションと同様に、データソースにパーミッションを設定することもできます。データソースへの接続はチーム全体に許可し、メタデータを編集するためのパーミッションは、データの整合性と管理を担当する指定された少数のユーザーに制限することができます。
ワークブックのユーザーフィルター: パブリッシュするワークブックにユーザーフィルターを設定することで、ユーザーのTableau Server 認証資格情報に基づいて、見る必要があるデータだけをユーザーに表示することができます。

これらの方法により、ビジネスユーザーは基盤となるデータベース構造や、適切なフィールド定義、データの整合性などを心配することなく、データからインサイトを導き出すことに集中できます。データソースのメンテナンスは、IT 部門、データベース管理者、またはデータスチュワードなどの適切なビジネスユーザーの責任とすることができます。

Tableau Data Server

データガバナンスにより、ユーザーの意思決定を導くデータの正確性が確保されます。IT 部門は、信頼される一元化された環境を提供することで、ビジネスユーザーが自分でデータを活用できるようにすることが可能です。ここで役立つのが Tableau Data Server です。Data Server はモダンデータアーキテクチャの複雑さをユーザーに認識させることなく、ライブと抽出の両方のデータ接続を一元的に管理します。

Tableau Data Server で、データモデルの共有、ユーザーによるデータアクセス方法のセキュリティ保護、抽出の管理と統合ができます。これにより、大規模で重複した個別のファイルの処理や保管といった不必要な作業を避けることができます。またData Server では、パブリッシュされた各抽出の自動更新を、1 日に複数回など、最も適切なスケジュールで実行するよう設定できます。

抽出の更新で問題が発生すると、すべてのユーザーにそれが見えるため、自分のダッシュボードに影響があるかどうかを知ることができます。Tableau Server の管理ビューでは、自動更新が失敗した場合も分かるため、組織がいつ最新のデータを使用しておらず、通知が必要であるかを把握できます。管理者およびワークブック作成者は、ワークブックまたはデータソースのパブリッシュ時に、抽出の更新をスケジュールできます。

適切に準備されたコンテンツの表示と操作、およびパブリッシュされたデータソースへの接続を可能にすることで、ユーザーは素早く分析を開始できるようになります。使用事例を特定し、開始地点が提供されれば、ユーザーは分析を素早く開始できます。抽出やメタデータのセットアップを待つ必要はありません。

どのデータセットが最も頻繁にアクセスされているかを確認できるため、一元化およびガバナンス管理された正確なバージョンのデータソースと関連ダッシュボードの整理を開始できます。成長するビジネスニーズに対する応答性を維持し、組織全体に価値を広げるために、この責任を徐々にスキルを持ったデータスチュワードに委任することが可能です。

データモデルをパブリッシュ、認証、共有する

Tableau は、最適化された数十ものネイティブコネクタにより、あらゆるデータに接続できます。Web データコネクタ SDK を使用して、データを JSON、XML、または HTML 形式でパブリッシュするほぼすべてのサイトの Web データを使用できます。接続を一度セットアップすると、すべてのユーザーが一貫してそのデータにアクセスし、分析できます。

パブリッシュされたデータソース (ライブ接続または抽出されたデータセットのデータモデル) は、Tableau Server またはTableau Online で一元管理および共有でき、他のユーザーが再利用することができます。パブリッシュされたデータソースへの変更は、そのデータソースを使用して構築されたワークブックに自動的に反映されます。表、結合などのすべての接続情報が含まれているデータソースをパブリッシュすると、ビジネスユーザーはそのデータソースに接続し、自分の計算を追加したり、他のデータとブレンドしたりできます。

Tableau の非常に強力な機能に、クロスデータベース結合があります。これは、他のユーザーが検索し、再利用できるように、異なるベンダーやデータベースからの表を結合し、1 つの新たなデータソースとして保存できる機能です。顧客データを SQLサーバーに、そして在庫管理データを Amazon RedShift に保存することができます。ビジネスユーザーは仕様を理解する必要がないため、シームレスな操作が可能です。

データスチュワードやプロジェクトリーダーなど、そのデータに最も近いビジネスユーザーには、カスタマイズしたフィールド定義、計算、パラメーター、およびグループを含む新しいデータソースをパブリッシュするパーミッションを付与することができます。つまり、ユーザーがソースに加えるメタデータの変更 (計算フィールド、パラメーター、エイリアス、または定義) は保存され、他のユーザーと共有できるため、一元管理され標準化された安全なデータセットが実現します。Creator は、これらすべてを Tableau で正しく実行できます。別のツールは必要ありません。パブリッシュされたデータソースのデータ標準を確立することで、ビジネス部門は、管理されたセルフサービスでのデータアクセスが可能になります。新しいデータソースをパブリッシュする前に、次の準備をしておいてください。
✔ 分析用にフィルターおよびサイジング済み
✔ 新しい計算を追加
✔ ビジネスで扱いやすい命名規則
✔ 重複/テスト計算を削除
✔ データ型を設定
✔ コメントを入力
✔ 階層を作成
✔ 最上位レベルに集計
✔ 書式設定を適用 (日付、番号など)
✔ 未使用のフィールドを非表示
✔ 会計年度の開始日を設定 (該当する場合)
✔ Tableau Server にパブリッシュ

このアプローチでは、本番サイトにパブリッシュする前に、データのプロトタイプを作成することもできます。テストし、信頼される状態になったら、サーバー管理者、サイト管理者、またはプロジェクトリーダーがデータソースを認証します。認証済みのデータソースは、Tableau Server の検索結果およびデータソースのスマート推奨アルゴリズムで優先的に扱われるため、見つけやすく、また再利用もしやすくなります。

認証と推奨によってデータソースが見つけやすくなり、Tableau でエンタープライズ分析を効果的に管理するデータスチュワードの能力を向上させることができます。この両方の機能によって、冗長なデータモデルの増加を抑え、より速く信頼できる良好なデータを見つけることができます。

人々に力を与える

Tableau のミッションはシンプルです。お客様がデータを見て理解できるように支援することです。これを規模に応じてできるようにするために、データアクセスと準備から、ガバナンスとコラボレーションにいたるまで、ビジネスを推進するために広範かつ詳細な分析機能を備えた、強力でミッションクリティカルな分析プラットフォームを構築しました。ユーザーのスキルレベルに関係なく、規模に応じて迅速に導入できます。

作成済みのダッシュボードにアクセスできる BI ツールは多数あります。Tableau が独自なのは、ディスカバリプロセスにおいて多くの場合ダッシュボードはゴールではなく、単なるスタート地点であるという点です。モダン分析プラットフォームは、より詳細な探索を可能にする必要があります。複雑な技術的スキルや分析スキルを必要とするのではなく、質問をするという人間の自然な能力を補うものであるべきです。ユーザーは機能やレポート作成要件ではなく、中断のないワークフローで分析サイクルに集中することができます。

ユーザーがサインインすると、アクセスできるすべてのダッシュボードとデータが表示されます。ダッシュボードの掘り下げは、ブラウズ、検索、オープン、および探索と同じくらい簡単です。私たちは、従来の枠を超えて探索することを推奨しています。道筋を誤っても、最初からやり直す必要はありません。Tableau は、データについて最もよく知っているユーザーに能力を与え、インサイトの影響を最大化します。

Tableau はビジネスユーザーに能力を与えるだけでなく、IT 部門がビジネス部門に能力を与える場合に、さらに戦略的な役割を果たせるようにし、プラットフォームの拡張とサポートという機能的責任がビジネス部門の戦略的目標と一致するようにします。管理されたセルフサービス分析を導入することで、IT 部門はこれまでのようなレポート作成工場の役割から脱却し、規模に応じたビジネスのアジャイル性を実現し、ビジネス部門のパートナーとなることができます。

コンテンツを見つける

組織全体でデータに基づく意思決定を可能にするためには、いつでも、外出時でも、データおよびダッシュボードに簡単にアクセスできる必要があります。

任意のモバイルブラウザを使用して、または iOS および Android デバイスで利用できるネイティブアプリの Tableau Mobileを使用して、Tableau Server や Tableau Online から直接、ダッシュボードにアクセスして探索できます。ダッシュボードのオフラインスナップショットにより、ユーザーはネットワーク接続に頼る必要なく、お気に入りのビューをすぐに確認できます。

Tableau には、関連するコンテンツを理解するのに役立ついくつかの機能があります。これらの機能には、グローバル検索、タグ、お気に入りのビュー、アラート、サブスクリプション、完全な Web 作成が含まれます。

ユーザーはビジュアル検索で、コンテンツタイプ全体の検索、関連性によるソートが可能で、ダッシュボード全体をロードする前にビューのイメージプレビューを表示したり、さまざまなコンテンツの人気を確認したりできます。また、サブスクリプション機能を使用すると、経営幹部は組織全体の週次レポートを簡単に追跡できます。管理者は、サブスクリプションの有効化、新しいサブスクリプションの作成、既存のサブスクリプションの削除が可能です。

ユーザーがコンテンツに対し行ったすべての操作 (ビュー、お気に入り、およびサブスクリプションの数による追跡) をもとに、コンテンツの人気と質に関する有益なインサイトが提供されます。これらの指標は、ビジネス全般を対象としているため、成長分野やその他の機会についての情報が提供され、トレンドのトピックまたは焦点を当てる分野の特定に役立つことがあります。Tableau はこのデータを機械学習に活用して検索の関連性の向上に役立てることで、ユーザーが新たなコンテンツを見つけやすくするほか、関連する結合や表を提案することもあります。

共同作業してインサイトを共有する

データを探索すると、ユーザーは他のユーザーとインサイトを簡単に共有することができます。ユーザーは、自身や他のユーザーのコンテンツのサブスクライブが可能です。これによって、関心のある主要なビジネス指標について、常に最新の情報を得られます。
ユーザーは、ビジュアライゼーションの最初のビューや、カスタムフィルターでフィルタリングしたビュー、選択したビューを共有できます。

Tableau Server および Tableau Online のセキュリティシステムによって、不正アクセスから保護されているので安心できます。特定のコンテンツへのパーミッションを持たないユーザーには、そのコンテンツの検索結果は表示されません。

Tableau のバージョン機能は、確実にコンテンツがバックアップされるよう、またワークブックのお気に入りのバージョンが誰かによって上書きされた場合に簡単に復元できるようにします。

使用状況の監視は、セルフサービスモデルの重要な部分です。監視を行うことで IT 部門およびサイト管理者は使用状況、パフォーマンス、障害を常に把握できます。ビジネスユーザーがよりスマートな意思決定を行うためにデータを活用するのと同様に、IT 部門でも Tableau の導入についてのデータドリブンな意思決定を行うことができます

Tableau では、Tableau Server リポジトリに直接アクセスすることができます。このリポジトリには、ユーザーのアクティビティ、データ接続、クエリ、抽出、エラー、ビュー、および操作についての情報が含まれています。これによりデータをドリルダウンし、集計し、答えを見つけることで、独自のインサイトを見出すことができます。既定のインタラクティブな管理ビューにより、Tableau Server 導入の使用状況を明確に確認できます。特定のユーザーの問題を解決しようとしている場合は、そのユーザーのみのアクティビティをフィルタリングして確認することもできます。

また、Tableau Server のリポジトリデータから、管理ビューをカスタマイズすることも可能です。より分かりやすいパフォーマンスビューを取得し、リソースやパフォーマンスのボトルネックを特定するために、よく使用しているリソース監視ツールでデータを取り込み、その情報を Tableau からのパフォーマンスデータと照合することができます。導入、プラットフォームの管理と監視、負荷テストとスケーラビリティ、プラットフォームの自動化、コンテンツ管理、およびデータ管理用のオープンソースツールの統合されたリストについては、Tableau の管理ツールをご確認ください。

失敗を追跡する

Tableau Server により、メールアラートや管理ビューを介してサーバーの健全性を脅かす問題やバックグラウンドタスクの状況を把握することができます。現在稼働中のサーバープロセスのすべてのステータスを確認でき、いずれかのサーバープロセスがダウンした場合に通知を受け取るように選択できます。スケジュールされたタスクが失敗した場合、その理由を確認できるため、是正措置を実行して今後の失敗を防止することができます。

パフォーマンスとキャパシティを監視する

システムのパフォーマンスがユーザーの要件を確実に満たすたように、ロード時間とスペースの使用状況を追跡できます。状況把握と過去の傾向から、使用状況のパターンの詳細を理解してユーザーに影響する前に新しいキャパシティをプロビジョニングすることができます。また、空きスペースが特定のしきい値を下回った場合は、管理者に警告アラートを発信するように設定することができます。

ビジネス上の意思決定にとって、分析はミッションクリティカルなものとなります。Tableau なら非常に迅速に導入でき、エンゲージメントも向上します。慎重に計画しない場合や、評価間隔が適切でない場合、「一度設定するだけ」の導入ではリソースが不十分になることがあり、エンゲージメントの高いユーザーのワークロードをサポートできないことがあります。

新たなインサイトを得る

自分の業務を Tableau の使用状況データの監視だけに制限する必要はありません。他のビジネス部門と同様に、Tableau を使用して IT システムやアプリケーション、ハードウェアとソフトウェアのインベントリ、パッチのコンプライアンスなどを視覚的に監視できます。
Tableau Online 2018.1 の新機能として、すぐに使える Dashboard Starters が、ServiceNow や Workfront (旧名 AtTask) などの人気のクラウドアプリケーションを使用する開始点として役立ちます。
追加のビューでは、チケットへの直接アクセスを実行するためのダイレクトパスを提供します。数回のクリックで、キュー内にあるプロジェクトの詳細をドリルダウンして表示することができます。それには、プロジェクトの概要説明や、最新のステータスアップデート、その他の役立つ情報が含まれます。

Tableau の IT 部門が日々のワークフローの一部として、Tableau をどのように使用しているかご覧ください。これは、ネットワーク接続を追跡しているダッシュボードです。
また、地理的マップを使用して、世界中の VPN 接続を表示しています。IP アドレスを使用することでユーザーの場所を表示できるため、リモートまたは移動中の従業員が最も近いゲートウェイに接続しているかどうかを判断できます。

ワークブックのパフォーマンスを最適化する

サイトの監視および管理を担当する管理者は、ワークブックの最適化と教育において積極的に取り組む役割を担っています。この役割は最初は IT 部門の責任として開始し、その後はサイト管理者やプロジェクトリーダーに委任することが可能です。
ビジュアル設計、関係する要素の数、計算の複雑さ、クエリの量、データ接続およびデータソースのほか、ハードウェアの構成やキャパシティなど、多くの要素がワークブックのパフォーマンスに影響します。
ワークブックのデザインに関する教育と経験により、ワークブックのパフォーマンスに関する問題が修正され、さらに良いことには防止することも可能です。

次のステップ

セルフサービス分析を可能にするには、ビジネス部門と IT 部門の連携が必要です。また、成長の基盤にふさわしいエンタープライズプラットフォームも欠かせません。

Tableau の導入および管理はシンプルです。高い信頼性と可用性、スケーラビリティを備えています。さらに、ビジネス部門の柔軟性とアジャイル性を損わずに、IT 部門が必要とするガバナンスとセキュリティも実現します。

現在、Fortune 500 企業の 90% 以上で利用されている Tableau は、財務サービス、政府、教育、医療など、最も厳しいセキュリティ要件のある業界において、一般向けおよび企業の導入の両方で、実績のあるソリューションとなっています。

それでも、この言葉をそのまま信じる必要はありません。Tableau をご自分で試してみてください。組織内のビジネス部門と連携して、安全かつスケーラブルな環境で、信頼性の高いデータを活用してください。データを価値あるインサイトへと変換することで、ビジネス部門が競争力を得られるように支援しましょう。


Links

TableauTableau ServerTableau Online データスチュワード

Tags

TableauWhitePaper